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病気の正しい治療とは

わが国を含め世界中の医学・医療界では1990年代半ばから病気の根拠(エビデンス)に基づいた医療という言葉が広く使われるようになった。「この薬はほんとにきくのだろうか?」などといった疑問点が出たときにそのような疑問点の一つひとつにについて、それまで世界中で発表された医学論文を余すことなく検索し、その中で内容が最も信頼できると考えられる論文結果を知った上で病気の治療・改善方法をお伝えいたします。

EBM(科学的根拠に基づく医療)

アメリカにおけるいくつかの研究報告によって、医療について重要な問題が指摘されました。それは、その病気は本当に適切な医療が行われているか、適当な医療とは何なのか、という医療の根本に迫る問題をクローズアップするものでした。

同じ病気であるのに、行われる治療に差がある。それによってその後の健康状態が違ってくる、場合によっては生存率まで差が出てくるような事態は当然ながら大問題です。日本でも決して少なくない医療への不信や不満、不安はこうした診療上の格差によるものといえるかもしれません。自分の病気で受けている治療は果たして適切なのか、それは同時に医療者にとっても大きな課題であるのです。この患者さんに行おうとしているこの診療行為は果たして適切なのであろうか、なるべく隔たりのない判断・決断を行うためにはどのような手順を踏むのが良いのか、それに対する一つの答えがEBMと言えます。

EBMを実践を可能にした条件

多くの過去に行われた臨床研究の中で最も客観的で信頼性の高い研究報告を探し出し、それを知る、と言うのがEBMの基本です。しかし自分が知りたい患者さんの診療上の問題点と同じ様な内容について、あらゆる研究論文を洗い出して吟味するなどと言うことは、つい最近までそれほど容易ではなかったのです。その理由をいくつか挙げてみましょう。

  • 世界中で医学雑誌に発表される論文の数は、毎年何十万編にも及びます。そのような膨大な医学論文がコンピューター上のデータベースとして整備され、インターネットでアクセス可能となり、そして多くの医師が性能の良いコンピューターを使うことができるという現在のような情報技術なくして読みたい論文を短時間で探し出すて立てがありませんでした。
  • 動物実験でがんを小さく出来るくするについての医学論文は多くあっても、その薬が患者さんで実際に使われて、生存期間を延ばしたり、生活の質を改善したり出来たのか、と言った患者さんを対象とする臨床研究は必ずしも多くは行われませんでした。
したがってどんな臨床研究がより信頼性が高いのかも、あまり大きな問題とはなりませんでした。ここ数十年、心象研究の数は大幅に笛データーが蓄積されるようになってきました。そして、医師が個人的に日常診療の中で持つ印象や結論よりも、患者さんをランダムに何群かに分けて、各軍で異なる病気治療を行ってその効果を比較すると言う科学的により厳密な研究方法で得られた結論のほうが、誤りが少ないと言うこともだんだん明らかになってきました。

つまり、患者さんにとってより正しい情報を提供する種類の研究が多数行われ、そのような医学情報がコンピューター技術の発展によって整備され、利便性が高まったと言う状況になってはじめてEBMを実践することが可能になったのです。