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狭心症の症状

心臓の筋肉(心筋)は、冠動脈から入ってくる血液によって酸素や栄養の補助を受け収縮と拡張を繰り返しています。この冠動脈が、何らかの原因によって狭くなったり、詰まったりしたために、十分に血液が流れなくなり、心筋が必要とするだけの量の酸素が供給されなくなった状態が狭心症です。心筋が一時的に酸素不足に陥ると、発作的に、胸が締め付けられる、胸が強く抑えるけられる、胸の置くがジーンと痛む、胸が焼け付くといった症状が現れます。こうした痛みや不快感を覚える場所は胸の中央部から、左肩あるいは左腕などに現れる場合もあります。

狭心症は症状の起こり方によって労作狭心症と安静狭心症に分類されます。労作狭心症は、階段の昇り降りなど何らかの作業や運動をしている時、あるいは精神的に興奮している時に発作が起こるもので、特に起床時、食後、寒い時などに起こりやすいと言われています。労作狭心症の場合、発作の持続時間は短く、ほとんど3分以内で収まり、長い場合でもおよそ15分前後で自然に収まります。

一方、安静狭心症は、特に作業や運動、精神的興奮といった引き金がなく、就寝中など安静にしている状態で突然起こるものです。これは血管に硬化や狭窄などの変化が見られなくても酸素の供給量が減るもので、冠動脈の痙攣(冠攣縮)が原因と考えられています。労作狭心症より、発作の持続する時間が長くなる場合が多いようです。

狭心症の原因

冠動脈の動脈硬化が進んで血管が狭くなったり(狭窄)、血のかたまり(血栓)によって血管が塞がれたりすることによって、血液が流れにくくなり、狭心症発作がおこります。

このように冠動脈を血管が通りにくくなっている状態に加え、坂道や階段を上るといった運動によって、さらに多くの酸素が必要になると、十分な酸素が心臓に運ばれず発作が起こることになります。狭窄の程度が比較的軽い場合は、かなり激しい運動をしなければ発作に至りませんが、狭窄が進んでいる場合には、少し動いただけでも発作が起こります。安静狭心症の場合は、痙攣によって冠動脈が狭くなるために発作が起こります。

狭心症の特徴

狭心症のおもな原因は冠動脈の動脈硬化ですから、動脈硬化を起こしている人が、狭心症を起こしやすいことになります。喫煙、高血圧、高脂血症、糖尿病、痛風、肥満などの動脈硬化を起こしやすくする要因のある人は、要注意です。わが国の女性では、冠動脈が収縮するタイプの安静狭心症が多く見られるのが特徴です。

よく行われる治療とケア

発作が起きたら安静にする

発作時の対応であるため臨床研究で確認されていませんが、痛み(狭心痛)の発作が起こっている時は心筋の酸素不足を解消するために安静にします。

安静にしても発作がおさまらない

狭心症の発作に対する硝酸薬(舌下錠、スプレー)の効果は、臨床実験によって確認されています。硝酸薬は、血管を拡張させ、心臓の筋肉が必要とする酸素の消費量を減少させることで発作を抑えます。通常数分以内に発作がおさまっていきます。

発作を防ぐための薬物療法

抗血小板薬
狭心症の患者さんに対し、抗血小板薬を用いることで、その後の心臓の深刻な症状(心血管系イベント)が抑制される。
B遮断薬
狭心症の患者さんに対し、B遮断薬を用いることで、その後の心臓の深刻な症状(心血管系イベント)が抑制されていることが非常に信頼の高い臨床研究によって確認されています。B遮断薬は、脈拍数や心筋の収縮力を減少させて心筋症の発作が起こるのを抑えます。
カルシウム拮抗薬、硝酸薬
B遮断薬を用いても心筋症の発作がコントロールできなかったり、B遮断薬を投与できない(禁忌の)患者さんに対し、カルシウム拮抗薬または長時間作用型の硝酸薬を用いることで、その後の心臓の深刻な状況が制御される。
ACE阻害薬
冠動脈の狭窄のある狭心症の患者さんに対するACE阻害薬の効果は、非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。

治療

血行再建術
薬の内服で狭心症発作がコントロールできない場合は、血行再建術によって血管を修復することが、非常に信頼性の高い臨床研究によって推進されています。冠動脈造影を行い、狭窄部の数や場所を確認し、どのような方法が適切化を判断します。血行再建術には、カテーテルを挿入して狭窄部を風船や金属製のコイルで拡張する方法(風船療法)や、手術によって、狭窄部を避けて血液の通り道ができるように血管をつないだりする方法(バイパス術)があります。
低コレステロールの食事をとる
低コレステロールの食事によって、狭心症の経過が改善することは非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。高コレステロール血症は動脈硬化を進展させるので、食事からコレステロール摂取を減らして血中コレステロール値を低下させるようにします。食事療法でコレステロール値が十分低下しない場合は高脂血症治療薬を用います。
禁煙
喫煙が狭心症の患者さんに対し、心筋梗塞などの心臓の深刻な症状を起こす危険性を高めることは確認されています。禁煙は当然行うべきです。
糖尿病がある場合は食事療法で血糖値を維持
糖尿病が狭心症のその後の経過を悪化させます。糖尿病は動脈硬化を進展させるため状態によっては食事療法、運動療法、薬物療法によって適度な血糖値を維持するようにします。
高血圧予防あるいは既に高血圧
高血圧が狭心症のその後の経過を悪化させます。高血圧は動脈硬化を進展させるため血圧の程度によって減塩などの食事療法、、運動療法、薬物療法を行います。

おもに使われる薬

発作を鎮める薬
硝酸薬
ニトロペン(ニトログリセリン)、ニトロール(硝酸イソソルビド)、ミオコール(ニトログリセリン噴霧剤)
発作が起きた時の治療として緊急に使われる薬のため臨床研究はありませんが、硝酸薬が血管を拡張させ、発作を軽減することは経験により明らかです。
労作狭心症の発作を予防する薬
テノーミン(アテノロール)[B遮断薬]
B遮断薬が労作狭心症の患者さんの発作を予防します。脈拍数や心筋収縮力を減少させて狭心症の発作が起こるのを押さえ心臓の深刻な症状(心血管系イベント)を抑制します。
バファリン(アスピリン・ダイアルミネート配合剤)[抗血小板薬]
抗血小板薬が労作狭心症の患者さんの発作を予防することは研究によって確認されています。
カプトリル(カプトプリル)[ACE阻害薬]
ACE阻害薬が労作狭心症の患者さんの発作を予防することは研究によって確認されています。
硝酸薬
ニトロールR(硝酸イソソルビド徐放剤)、アイトロール(一硝酸イソソルビド)、フランドルテープ(硝酸イソソルビド貼付剤)、ニトロダームTTS(ニトログリセリン貼付剤)
硝酸薬が労作狭心症の患者さんの発作を予防することは、臨床研究によって確認されています。
冠拡張薬
シグマート(ニコランジル)
冠拡張約が労作狭心症の患者さんの発作を予防する。
aB遮断薬
アーチスト(カルベジロール)
aB遮断薬が労作狭心症の患者さんの発作を予防することは、非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。
カルシウム拮抗薬
アダラート(ニフェジピン徐放剤)、コニール(塩酸ベニジピン)、ヘルベッサーR(塩酸ジルチアゼム徐放剤)、アムロジン/ノルバスク(ベシル酸アムロジピン)
カルシウム拮抗薬が労作狭心症の患者さんの発作を予防することは確認されています。B遮断薬を用いても、狭心発作がコントロールできなかったり、投与が出来ない患者さんだったりする場合は、カルシウム拮抗薬を用いることがすすめられています。
安静狭心症の発作を予防する薬
冠拡張薬
シグマート(ニコランジル)
安静狭心症の発作を予防します。
カルシウム拮抗薬
アダラートL(ニフェジピン除法剤)、コニール(塩酸ベニジピン)、ヘルベッサーR(塩酸ジルチアゼム徐放剤)、アムロジン/ノルバスク(ベシル酸アムロジピン)
カルシウム拮抗薬が安静狭心症の患者さんの発作を予防します。
硝酸薬
ニトロールR(硝酸イソソルビド徐放剤)、アイトロール(一硝酸イソソルビド)、フランドルテープ(硝酸イソソルビド貼付剤)、ニトロダームTTS(ニトログリセリン貼付剤)
硝酸薬が安静狭心症の患者さんの発作を予防するという臨床研究は見当たりませんが、専門家の意見や経験から支持されています。
高脂血症を改善し、動脈硬化の進展を阻止する薬
メバロチン(プラバスタチン)、リポバス(シンバスタチン)
狭心症の患者さんのその後の経過に対する、スタチン系薬の効果は非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。食事療法でコレステロール値が十分低下しない場合に投与します。
シンレスタール/ロレルコ(プロブコール)
プロブコールの効果については非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。

一般的な治療法

最も信頼すべき根拠に基づいた治療が可能

狭心症などの心疾患は、生命に直結する重大な病気ですし、欧米ではわが国に比べて5〜6倍もの発症率のため、長年にわたって非常に多くの信頼性の高い研究が行われてきた。したがって、数え切れないほどある病気のなかで、最も信頼できる根拠に基づいて治療ができる病気の一つといえます。

発作時には安静と硝酸薬

狭心所の発作が起きたら、安静にし、硝酸薬(舌下錠、スプレー)を用いて、できるだけ早く発作を抑えるようにします。発作の時間が長くなると、それだけ心筋の酸欠状態が続いて、ダメージを受けることになり、心筋梗塞や危険な不整脈を引き起こす危険も増大します。発作が長引かないように狭心症と診断を受けたら、硝酸薬を常に携帯するようにしましょう。

発作予防にはまず禁煙

発作がたびたび起こらなくなっても、発作を予防するために喫煙者はまず禁煙をしましょう。そして発作予防のために脈拍数や心筋の収縮力を減少させて、心筋が消費する酸素の量を減らすことを目的にB遮断薬を用います。B遮断薬でも発作がたびたび起こる場合や、B遮断薬が服用できない場合では、冠動脈を拡張させて酸素供給量を増やすためにカルシウム拮抗薬や長時間作用する硝酸薬を用います。さらに血液が固まって冠動脈が閉塞すると心筋への酸素供給量が減って心筋梗塞を起こしやすくなりますので、血液が固まらないようにするために抗血小板薬のアスピリンなどを用います

薬でも発作を予防できない場合には血行再建術

薬を服用しても発作がしばしば起こる場合には、結構再建術が検討が検討されます。冠動脈造影を行い、その状態を十分に把握した上で、拮抗を再建する具体的な方法を選択します。具体的な方法として、カテーテルを挿入して、凶作部を風船で広げる(風船療法)、金属製の筒状のコイルで広げる、動脈硬化が進んだ血管の盛り上がった部分を削る、あるいは患者さん自信の足の静脈などを移植して、外科的に大動脈と冠動脈の間に血液の通り道を作る方法(バイパス術)があります。

動脈硬化の危険因子を全て取り除く

わが国の女性に多い、冠動脈が収縮するタイプの狭心症を除けば、動脈硬化が背景にあって強雨心象が怒りますので、動脈硬化を促進する「危険因子」を全て取り除くように努めなくてはなりません。具体的には、禁煙に加えて、高脂血症の改善(低コレステロール食、服薬)、肥満の改善(低カロリー食、運動)、糖尿病のコントロール、高血圧のコントロール、体重のコントロールなどです。

副作用や合併症に注意し、治療を生活に取り入れる。

発作時の治療も動脈硬化の予防策も、ほとんど全て、最も信頼できるタイプの臨床研究の方法によって効果が確認されています。副作用や合併症に注意しながらできるだけこれらの治療や予防策を生活の一部として取り入れることが強く勧められます。

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