がん治療ならセレンクリニック
国立大学で研究されたがんの最先端の治療技術を提供するがん治療専門のクリニックです。 免疫細胞を使った治療(がん樹状細胞療法)を中心に、副作用を抑えた抗癌剤治療(がん休眠療法)、関連医療施設での副作用の少ない放射線療法などを併用し、患者さんにあった副作用の少ないオーダーメードのがん治療を提供しています。
大腸がんの症状
大腸は盲腸からはじまって、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸へと続きます。がん(癌)でよくできるのは直腸、S状結腸です。特有の症状はありませんが、下痢と便秘を繰り返したり、腹痛、腹部の膨満感などが見られます。また、便に血が混じることがあり、痔との鑑別が重要です。大腸がんによる血便は、暗赤色もしくは黒色をしています。肉眼で血便が見られなくても、便の潜血反応検査で陽性が続く時は、大腸内視鏡検査や注腸検査などの精密検査が必要です。
本人が気づかないまま出血が続くうちに、貧血になることもたまにあります。このほか、大腸にはしばしばポリープが出来ます。良性ですが、一部は放置するとがん化する可能性があるため、内視鏡を使って切除します。
大腸がんの原因
大腸がんの原因は詳しくはわかっていませんが、食生活との関係が深いと考えられています。アメリカに移住した日本人の調査から、食生活が欧米化すると大腸がんが増えることがわかりました。特に赤身肉をたくさん食べる人は、リスクが高いとされています。これは動物性脂肪による細胞分裂促進作用や動物性たんぱく質の加熱によって生成される発がん物質などが関係していると考えられています。
一方、これまで食物繊維の豊富な野菜をたくさん食べると大腸がんの予防に役立つと考えられてきましたが、最近、予防効果はないとする研究結果が欧米とわが国で相次いで発表されています。大腸がんに限っては予防効果に疑問が出されていますが、食物繊維を豊富に含む野菜を食べることは、心臓病や糖尿病のリスクを低くするとされており、健康増進には役立ちます。
大腸がんの特徴
大腸がんは、日本人に増加傾向の著しいがんです。毎年約6万人が発症しています。男女差はなく60歳代がピークで70歳代、50歳代とつづきます。
よく行われる治療とケア
予防方法
- 危険因子を避ける。
- 肥満や喫煙が大腸がんの危険因子となることが臨床研究によって確認されています。
- 食物繊維を含む野菜類を取る。
- これまで食物繊維を多くとることが大腸がんの予防に効果があると考えられてきましたが、非常に信頼性の高い臨床研究によってん食物繊維は大腸がんの発症に関連がないことが確認されています。ただし、野菜類を多く取ることは健康増進に良いので、専門家の経験から支持されています。
治療
早期大腸がんの場合
- ポリペクトミー
- ポリペクトミーとは、内視鏡を使ってポリープやがんを根元から切除する治療です。リンパ節転移の危険性が1%以下の場合は、このポリペクトミーでがんを切除します。ただし、がんの組織型や浸潤の程度などによりポリペクトミーが適さないこともあります。その場合には開腹手術を行うこともあります。この治療方法の効果は信頼性の高い臨床実験によって確認されています。
- 内視鏡的粘膜切除術
- 周辺の粘膜に生理食塩水を注入して、がんを浮き上がらせ、内視鏡で切除する方法です。一般に大きさが3cm以下の早期大腸がんに対して行われる。信頼性の高い臨床研究によると85%の割合で完全切除できると報告されています。
- リンパ節郭清を伴う腸菅切除術
- 開腹して、がんのある腸菅を切除し、周囲のリンパ節も取り除く手術です。議論できるだけのデータに貧しいようですが、経験的に行われることもあります。
- リンパ節郭清を伴う腹腔鏡補助下大腸切除術
- 腹部を小切開氏、腹腔鏡を使って大腸と周囲のリンパ節を切除する手術です。
進行大腸がんの場合
- リンパ節郭清を伴う腸菅切除術を行う
- 進行大腸がんに対する治療において、一般的に行われている方法です。ただし、広範囲のリンパ節郭清のメリットは貧しいとする臨床研究があります。
- リンパ節郭清を伴う腹腔鏡補助下大腸切除術を行う
- 進行大腸がんに対する治療においては、議論の余地があります。開腹手術に比べ腫瘍の増大を抑えることが臨床研究で認められていますが、反面、腹腔鏡下手術に伴う合併症のリスクもあるからです。
- 手術補助化学療法
- これまでの多くの臨床結果を総合的に分析した結果、ステージ2期においては化学療法のメリットは確認されていません。進行度がデュークスBもしくはCの大腸がんに対しては、非常に信頼性の高い臨床研究によって手術後に化学療法を行った場合のほうが、何もしなかった場合よりも5年生存率が改善したことが確認されています。
進行直腸がんの場合
- 低位前方切除術(括約筋温存術)
- 肛門を温存しながら、がんを切除する手術です。手術の安全性と効果が確立していることが信頼性の高い臨床研究によって確認されています。
- 腹会陰式直腸切断術
- 直腸と肛門を全摘して、人工肛門を作る手術です。腹会陰式直腸切断術と低位前方切除術の効果には差が無いことから信頼性の高い臨床研究によって確認されています。
- 腹腔鏡下前方切除術
- 術後の腸閉塞や痛みの軽減入院期間の短縮につながります。ただし、長期的な効果については確認されておらず、今後、信頼性の高い臨床研究の報告が待たれます。
- 手術補助科学療法を行う
- ステージ2期、3期の直腸がんでは、抗がん剤のフルオロウラシルをベースにした手術補助科学療法を行うことで、術後生存率が改善されたことが非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。
- 放射線療法と化学療法を併用
- 放射線療法と化学療法を組み合わせることで、無病期間の延長は認められるようですが、生存率には反映しないことが、非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。
おもに使われる薬
- 5-FU(フルオロウラシル)
- フルオラウラシル使用郡では、無治療郡と比べて死亡率が低下したという非常に信頼性の高い臨床研究があります。
- ユーエフティ(テガフール・ウランシル配合剤)
- 手術単独治療郡と術後にテガフール・ウラシル配合剤を使用した患者さんの郡を比較した結果、テガフール・ウラシル配合剤使用郡の患者さんのほうが生存率が上昇した臨床研究があります。
- フルツロン(ドキシフルリジン)
- 単独で用いた場合、有効性を示す臨床研究は見当たりません。
- 5-FU(フルオロウラシル)+ミフロール(カルモフール)
- 大腸がんの手術後、フルオロウラシルを使用してからカルモフールを追加使用した患者さんの郡とフルオロウラシル単独治療した患者さんの郡を比べたところ、両者の間に生存率の差はありませんでしたが、前者のほうが再発率が低かったとの報告があります。ただし、カルモフール単独使用の場合の効果について有効性を示す臨床研究は見当たりません。
- 5-FU(フルオロウラシル)+ロイコボリン(ホリナートカルシウム)
- フルオロウラシルとホリナートカルシウムの組み合わせによって生存期間を延長し、再発率を低下させたという臨床研究があります。
一般的な治療法
早期大腸がんなら内視鏡で切除
粘膜内にとどまる早期大腸がんでは内視鏡によるポリペクトミーあるいは粘膜切除術が行われます。このような早期がんについて、開腹ないし腹腔鏡による腸菅切除術を行うべきかどうかについては、十分なデータは得られていないようです。体への負担が小さく手技に伴うリスクが低いことから現在の所内視鏡による切除(がんのみ、あるいは粘膜切除)がすすめられます。
進行大腸がんでは手術と科学療法
進行大腸がんについてはリンパ節郭清を伴う腸菅切除術が一般的な治療法です。そして、がんがどの程度進行していたのか、また患者さんの全身状態にもよりますが特別な理由がないようなら手術後に5-FC(フルオラウラシル)とロイコボリン(ホリナートカルシウム)を組み合わせた化学療法なども行います。
直腸がんは術後の生活の質(QOL)を考慮する。
直腸がんでは、肛門を残す低位前方切除術(括約筋温存術)や人工肛門形成術を伴う腹会陰式直腸切断術が行われます。これらの手術には、治癒や余命を延長させる効果があることが確認されています。排泄は生活の中でも基本的な要素の一つであり、肛門を残せるかどうかは患者さんの生活に大きな影響を与えることになります。できるだけ術後の生活の質(QOL)を損なわない治療法の選択がすすめられます。
肛門がんには放射線療法と化学療法も有効
肛門がんについては、かつては腹会陰式直腸切断術が第一選択でしたが、腫瘍径が3cm未満の場合、放射線外部照射に化学療法を組み合わせると手術と同等の治療率が期待されることが信頼性の高い臨床研究によって報告されています。腫瘍の大きさによっては患者さんへの不安が軽い治療法の選択が可能になっています。
禁煙や食生活の改善で予防
大腸がんの原因は明確になっていませんが、食生活との関係が深いと考えられ、特に動物性脂肪たんぱく質の影響が示唆されているので、食生活の改善は予防につながるでしょう。また、禁煙が危険因子であることを示す臨床研究があり、禁煙がすすめられます。最近ではアスピリンの定期的な服用によって大腸がんによる死亡のリスクと共に線腫やがんの発生のリスクも低下することが信頼性の高い臨床研究で確認されています。