国立大学で研究されたがんの最先端の治療技術を提供するがん治療専門のクリニックです。 免疫細胞を使った治療(がん樹状細胞療法)を中心に、副作用を抑えた抗癌剤治療(がん休眠療法)、関連医療施設での副作用の少ない放射線療法などを併用し、患者さんにあった副作用の少ないオーダーメードのがん治療を提供しています。
病気の正しい治療トップ > がん(癌) > 前立腺がん(癌)治療・症状
国立大学で研究されたがんの最先端の治療技術を提供するがん治療専門のクリニックです。 免疫細胞を使った治療(がん樹状細胞療法)を中心に、副作用を抑えた抗癌剤治療(がん休眠療法)、関連医療施設での副作用の少ない放射線療法などを併用し、患者さんにあった副作用の少ないオーダーメードのがん治療を提供しています。
前立腺は男性の膀胱と尿道の継ぎ目にあり、尿道と射精間を取り囲む栗の実ほどの大きさの臓器です。前立腺がんはここに悪性腫瘍ができる病気です。
初期の段階では特に症状はありません。進行してくると、頻尿や残尿感、排泄困難、会陰部の圧迫感などの症状が現れます。これらの症状は前立腺肥大症と同じものなので、両者の鑑別が大切です。ただし、いずれも高齢者に多い病気で、両方が合併していることもあります。血液検査でPSA(前立腺特異抗原)を調べるとかなりの確率で前立腺がんの早期発見に役立ちます。肛門から指を挿入して前立腺を触診する直腸診も有効です。前立腺がんと診断された患者さんはどの程度病気が進んでいるのかを調べます。
前立腺肥大症は尿道に対しておもに内側から発生しますが、前立腺がんの場合は尿道に対して外側から発生することが多いという特徴があります。このため、前立腺がんの初期には衝動を圧迫せず、頻尿や残尿感などの症状は少し病気が進行してからでてきます。
現在までの所、男性ホルモン、人種、食生活、生活環境、遺伝子またはウイルス感染などが関係しているのではないかと考えられています。もともと欧米に多く、わが国では少なかったがんですが、近年、日本でも増加傾向にあることから特に食生活の欧米化との関係が疑われています。また、前立腺がんの多くは、自分の体で作られる男性ホルモンによって増殖します。このため、体内で男性ホルモンの分泌や作用を止めると、がん細胞の増殖を抑制することができます。
前立腺がんは、欧米では男性がん死亡率の約20%を占める頻度の高いがんですが、わが国では約3.5%とそれほどでもありません。しかし、年々、増加する傾向にあり、泌尿器科のがんでは最も多いがんです。10万人あたりの男性が1年間に前立腺がんにかかる人数は全年齢を合わせると10人程度です。45歳以下の男性では稀ですが、50歳以後は増加し、70歳代では約100人、80歳以上では200人を超えるほどになります。このように前立腺がんは高齢者に多い病気といえます。
放射線療法も早期がんで行われる治療法ですが、おもに前立腺摘除術では体力的に負担がかかりすぎる高齢者の患者さんに対して行われます。放射線療法が効果的であることは非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。しかし、前立腺摘除術と比較すると、放射線療法(外照射)のほうが転移発生率が高いとの報告があります。血清PSA(前立腺特異抗原)を指標とした治療効果の判定からは、治療前の血清PSA値が低い人ほど5年後、7年後の経過が両区である可能性が高いようです。
前立腺がんは、70歳以降の高齢男性では非常に高頻度に見られるものです。しかしながら、必ずしも全ての人に症状が現れて、治療が必要になるわけではありません。排尿困難や残尿感などの症状が起こり、前立腺がんと判断されたら、がんが前立腺にとどまっているのか、リンパ節や肺、骨など他の器官への転移があるかどうかを確かめます。その結果によって治療方針が大きく異なってきます。
がんが前立腺内にとどまっている早期では、心肺機能が許すなら一般的に前立腺摘除術か放射線療法のいずれかが選択されます。組織を検査して、がん細胞の悪性度が低く、サイズも非常に小さいと考えられる場合は、特別な治療はしないで、定期的に経過を観察することもあります。手術についても放射線療法についてもさまざまな方法がありますので、がんの大きさや進み具合、そして本人の希望などを十分につき合わせたうえで、具体的な方法を決定します。
既に、がんが転移している場合には、男性ホルモンを薬や手術で除去または遮断する方法が中心となります。前立腺がんは、自分の体で作られる男性ホルモンによって増殖していきます。これらの治療法はその男性ホルモンを抑えることで、がんを押さえ込むことを目的とします。具体的には、去勢術、女性ホルモン薬、抗男性ホルモン薬、LH-RHアゴニストがあります。去勢術は手術で男性ホルモンの大部分を作っている精巣(睾丸)を摘出して、体内の男性ホルモンを低下させるものです。女性ホルモン薬、抗男性ホルモン薬、LH-RHアゴニストは作用する場所やホルモンの違いはありますが、いずれも男性ホルモンが前立腺に影響を及ぼすのを止める薬です。どの治療法も臨床研究でその効果が確認されており、治療法の選択は、病状、年齢、本人の希望などを考え合わせた上で決定されます。なお、女性ホルモン薬は、動脈硬化や血栓症などの副作用が強いことが知られています。また、最近では女性ホルモン薬と抗がん薬との合剤も開発されています。再発した場合は、放射線療法や抗がん薬による化学療法が行われることになります。前立腺がんは男性ホルモンをコントロールすることで治療できる特異ながんであり、予後も他のがんに比べ比較的よいとされています。